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ドローンで使用できる農薬の種類と、散布前に確認しておきたい注意点

ドローンで使用できる農薬の種類と、散布前に確認しておきたい注意点

近年、農薬散布にドローンを活用する動きが広がる一方で、「どの農薬が使えるのか」「安全面やルールは大丈夫なのか」と不安を感じている方も少なくありません。

 

ドローン農薬散布は省力化や作業効率の向上が期待できる反面、農薬の選び方や使い方を誤ると残留農薬や薬害、法令違反といったトラブルにつながる可能性があります。

 

この記事では、農薬の種類やドローン散布に対応した農薬の確認方法、使用時の注意点を詳しく紹介します。

 

ドローンで農薬散布を検討している方や、安全に運用したい方はぜひ最後までご覧ください。

 

農薬の基本的な役割と目的

ドローン機体

農薬とは農薬取締法に基づき、農林水産大臣が効果や安全性を確認したうえで、問題がないと判断されたものだけが登録される薬剤や天敵生物のことを指します。

 

農薬には、殺虫剤・殺菌剤・殺虫殺菌剤をはじめ、害虫や雑草を防除するための除草剤・殺そ剤、作物の生育を調整する植物成長調整剤、害虫を引き寄せる誘引剤、薬剤の効果を高める展着剤、害虫を防ぐ天敵や微生物剤などさまざまな種類があります。

 

これらのうち、登録されていないものは製造・販売・使用が認められていません。農薬を使用する際は、容器に表示されている使用方法や注意事項を必ず確認し、表示内容を守って正しく使用することが大切です。

 

農薬散布ドローンで使用可能な農薬の種類

農林水産省の公表情報によると、2025年4月時点で登録されている農薬は1,400種類以上あります。

 

その中でも、特に稲作向けの農薬が多く、次いで野菜類やいも類向けの農薬が多く登録されています。

作物分類 登録数
525
野菜類 450
いも類 142
豆類(種実) 84
果樹類 70
麦類 57
樹木類 45
てんさい 28
とうもろこし 17
さとうきび 12
10
飼料作物 9
花き類・観葉植物 8
はとむぎ 1
その他 3
総計 1461

 

ドローン散布に対応した農薬なのかを確認する方法

ドローンで農薬を散布する際は、その農薬がドローン散布に対応しているかどうかを事前に確認することが欠かせません。

 

対応していない農薬を使用すると、法律違反や散布トラブルにつながるおそれがあります。

 

ここでは、ドローン散布に対応した農薬なのかを調べる具体的な方法をわかりやすく解説します。

 

ラベルで使用可否を確認する

ドローン散布に対応している農薬かどうかは、農薬のラベル表示を確認することで判断できます。

 

ラベル内の「使用方法」の欄に、「無人航空機による散布」「無人ヘリコプターによる散布」「無人航空機による滴下」「無人ヘリコプターによる滴下」のいずれかが記載されていれば、ドローンで使用できる農薬です。

 

まずはラベルを確認することが、最も基本的で確実な方法といえるでしょう。

 

産業用無人航空機農薬から調べる

産業用無人航空機農薬の情報サイトを利用すれば、ドローン散布に使用できる農薬を簡単に調べることができます。

 

このサイトでは、農薬名や用途から検索できるほか、最新の農薬登録情報も確認可能です。

 

必要なときにすぐ検索できるため、事前確認や情報収集に便利です。

 

農薬登録情報提供システムを活用する

より詳しく確認したい場合は、農薬登録情報提供システムの活用もおすすめです。

 

まず「様々な項目から探す」を選択し、「作物を選択」の欄で散布したい作物を指定して「確定する」をクリックします。

 

そのあと、「使用方法」の検索欄に「無人」と入力し、「検索する」を押すことでドローン散布に対応した農薬を絞り込んで確認できます。

 

ドローンで農薬を使用する際に気をつけるべきポイント

ドローン機体

ドローンで農薬を散布する際は、正しい使用方法を理解していないと残留農薬の発生や作物への薬害、法令違反といったリスクにつながる可能性があります。

 

特に、希釈倍率の設定ミスや容器表示の見落とし、吐出量の調整不足はドローン散布で起こりやすいトラブルのひとつです。

 

ここでは、ドローンで農薬を安全かつ効果的に使用するために押さえておきたい注意点を詳しく紹介します。

 

指定された希釈倍率を正しく守る

ドローンで農薬を使用する場合、残留農薬の発生や作物への薬害を防ぐために、指定された希釈倍率を必ず守ることが重要です。

 

希釈倍率を誤ると、農薬が濃くなりすぎたり、反対に薄くなりすぎて十分な効果が得られなかったりするおそれがあります。

 

必要な農薬量は、次の計算式で求められます。

 

散布量(L)÷ 希釈倍率 × 1,000 = 必要量(ml)

 

ドローンや無人ヘリコプターは搭載できる液量が限られているため、無人航空機用の農薬は地上散布と同等の効果が得られるよう、高濃度に設定されているのが特徴です。

 

そのため、希釈倍率の管理は特に慎重に行いましょう。

 

容器表示を必ず確認する

農薬を使用する前には、容器に記載されている表示内容を必ず確認してください。確認すべき主な項目は、以下のとおりです。

 

毒物の表示 医薬用外毒物は赤地に白文字、医薬用外劇物は白地に赤文字で表示されています。
危険物の表示 消防法に基づく危険物表示が記載されています。
登録番号 農林水産省に登録されている正規の農薬であることを示す番号です。
有効期限 有効期限が過ぎた農薬は使用せず、適切に処分しましょう。

 

吐出量は自動設定機能を活用する

農薬散布時は、吐出量の自動設定機能を活用するのがおすすめです。

 

散布量や操縦をすべて手動で行うと、操作ミスにより必要以上の農薬を散布して残留農薬基準を超えてしまったり、反対に散布量が少なすぎて十分な効果が得られなかったりする場合があります。

 

自動設定機能を使用することで、飛行速度や散布量が安定し、ムラの少ない均一な散布が可能です。結果として、農薬の効果を引き出しながら、安全性も高められます。

 

残留農薬基準とは?

?と書かれている画像

残留農薬基準とは、食品中に残る農薬の量について、安全性が確認された範囲内で国が定めている基準値のことです。この基準を超えると、安全な食品として出荷することができません

 

ドローンによる農薬散布は、風の影響を受けやすいという特性があります。そのため、散布対象の作物以外に農薬が飛散しないよう、十分な注意が必要です。

 

万が一、周辺の作物に農薬がかかり、残留農薬基準を超えてしまった場合には生産物の出荷停止や回収といった対応を求められる可能性があります。

 

こうしたリスクを防ぐためにも、農薬を散布する際は風の強さ・風向き・周辺の作物や環境を事前に確認したうえで、安全に配慮して作業を行うことが重要です。

 

まとめ

ドローンによる農薬散布を安全かつ効果的に行うためには、農薬の登録状況や使用条件を正しく理解し、事前確認と適切な管理を徹底することが欠かせません

 

希釈倍率や吐出量、周辺環境への配慮など、基本を押さえることでトラブルのリスクを大きく減らすことができます。

 

一方で、「自分で正しく運用できるか不安」「実際の散布方法や管理に自信がない」と感じる方もいるでしょう。

 

そうした場合は、ドローン農薬散布の知識と実績を持つスカイテクノワークスにご相談ください。

 

スカイテクノワークスでは、10kgの農薬を積載可能で防水・防塵・耐食性に優れた産業用マルチローターを使用し、農薬散布を行っています。

 

コンパクトで小回りがきくため、中山間部や狭小地での散布にも対応可能です。安全性と効果の両立を重視した農薬散布を検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。

 

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コラム監修者

福永久博
福永久博専務取締役
測量士として25年以上の実務経験を持ち、数多くの公共・民間測量プロジェクトに携わる。
現場で培った確かな測量技術に加え、ドローンを活用した最新の写真測量・3D解析技術にも精通。
1級土木施工管理技士としての知見を生かし、土木現場におけるICTにも積極的に取り組む。

また、UAV写真測量 初級編 POWERED BY KOMATSU SMART CONSTRUCTION インストラクター、P4RTK写真測量インストラクター、JUIDA認定インストラクター、DJI CAMPインストラクターとして、育成にも力を入れている。

そのほか、産業用マルチロータオペレーター技能認定、農薬指導士、米・食味鑑定士、2級陸上特殊無線技士、3級アマチュア無線技士、ICTアドバイザー(九州地方整備局認定)など多数の関連資格を保有。現場経験と教育実績を併せ持つ。