Columnコラム

ドローン

ドローン直播で失敗しない湛水直播の圃場選びとコーティング方式とは

ドローン直播で失敗しない湛水直播の圃場選びとコーティング方式とは

近年、稲作の作業負担を減らし、効率化を進める手法としてドローン直播が注目されています。

 

人手による播種作業を減らせることから、作業時間の短縮や労力の軽減を目的に、導入を検討する農家も増えています。

 

ドローン直播の中でも、湛水直播は栽培初期が安定しやすく、管理しやすい点が特徴です。

 

ただし、被覆資材や播種方法によって複数の方式があり、それぞれ適した管理方法や注意点が異なります。

 

この記事では、湛水直播のメリットや圃場選びのポイント、コーティング方式の違いを詳しく紹介します。ドローン直播を検討している方や、湛水直播について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

湛水直播とは

田んぼ

湛水直播は、水を張った状態の水田に種籾を直接まきます。播種時に雨が降っても影響を受けにくく、計画どおりに進めやすいのが特徴です。


また、水が地温を保つ役割を果たすため、寒冷地でも稲が育ちやすい環境をつくれます。

 

乾田直播との違い

乾田直播は、水を張っていない田んぼに、直接稲の種をまく方法です。

 

苗を育てたり、代かきを行ったりする工程が不要なため、作業の手間を減らしやすくなります。

 

湛水直播のメリット

湛水直播は、作業の省力化だけでなく、栽培初期のトラブルを抑えやすい点でも注目されている方法です。

 

水を張った状態で播種することで、鳥害の軽減や生育初期の乾燥対策につながり、安定した出芽や管理のしやすさが期待できます。

 

ここでは、こうした湛水直播ならではのメリットについて、わかりやすく解説します。

 

鳥害が起こりにくい

湛水直播の大きなメリットのひとつが、鳥害を受けにくい点です。田んぼに水を張った状態で播種するため、種籾が水の中に沈み、鳥から見えにくくなります

 

鳥は主に視覚でエサを探すため、水面下にある種籾には気付きにくく、食べられてしまうリスクを抑えやすくなります。

 

省力化・時短につながる

ドローンを使った直播では、短時間で広い面積に均一に播種できます。人手での作業に比べて移動や準備の手間が少なく、作業効率が大きく向上します。


また、播種だけでなく防除や追肥といった作業も同じドローンで行えるため、全体の作業時間を短縮することが可能です。

 

生育初期に乾燥の影響を受けにくい

水を張った状態を保つことで、土壌内の水分が一定に保たれます。播種直後から土の表面が乾きにくくなるため、苗が乾燥の影響を受けにくくなります

 

発芽から初期生育にかけて、必要な水分を安定して確保しやすいのが湛水直播のメリットです。

 

出芽が安定し、除草管理が行いやすい

湛水直播では水分環境が安定するため、発芽に適した状態を保ちやすく、種籾ごとの発芽のムラが起こりにくくなります

 

また、水を張った状態では雑草が発生しにくく、初期の雑草対策がしやすいのも特徴です。その結果、除草作業の負担を軽減しやすくなります。

 

湛水直播で失敗しない圃場選びのポイント

湛水直播は、どの水田でも同じように成功するわけではありません。出芽の安定や除草管理のしやすさは、圃場条件に大きく左右されます。

 

播種前に、水管理のしやすさや水田の状態を確認しておくことが重要です。

 

ここでは、湛水直播に適した圃場を選ぶときのポイントと注意点を詳しく解説します。

 

適している圃場の条件

湛水直播に適しているのは、水の出し入れがスムーズに行える水田です。播種後は落水と湛水を繰り返しながら管理するため、水位を調整しやすい環境が必要になります。

 

また、水持ちがある程度よく、田面が均一に整地されていることも重要です。凹凸が少ない圃場では水深が均一になり、出芽のばらつきを抑えやすくなります。

 

さらに、雑草の発生が少ない圃場も適しています。直播栽培では強力な除草剤が使えない場合があるので、雑草密度が低いほうが管理がしやすいです。

 

渡り鳥などの飛来地で無い圃場が適してます。

 

圃場選定で気をつけたいポイント

排水不良の圃場や極端に湿害が出やすい田では、出芽が不安定になるおそれがあります。


過去に漏水があった圃場や長期間休耕していた水田も、雑草や苗立ち不良のリスクが高まるため、慎重な判断が必要です。

 

また、前年とは異なる品種に変更する場合は、こぼれ種による混入が起こる可能性があります。


連作する場合は、基本的に前年度と同じ品種を選ぶほうがリスクを抑えられます。

 

種子コーティングの種類と特徴

田んぼ

湛水直播では、出芽の安定や苗立ちの確保、鳥害対策などを目的として種子にさまざまなコーティング処理が行われます。

 

使用する資材や処理方法によって、播種のやり方や水管理のポイントが大きく変わるのが特徴です。

 

ここでは、代表的な種子コーティングの種類とそれぞれの特徴について、わかりやすく解説します。

 

鉄コーティング

鉄コーティングは種籾の表面を鉄系の資材で包む方法です。比重が重くなるため水に浮きにくく、水面播種でも安定しやすくなります

 

処理後は比較的長く保管できますが、被覆の工程で熱が発生するため温度管理が欠かせません

 

発芽期には水管理を適切に行い、あわせて害虫への対策も進める必要があります。

 

べんがらモリブデンコーティング

べんがらモリブデンコーティングは、二酸化三鉄・モリブデン・PVAを組み合わせて種子を覆う方法です。浅層土中播種なので、表面播種よりも倒れにくいのが特徴です。

 

また、作業中に発熱が起こらないため、放熱を気にする必要がありません。表面が乾燥すればすぐに播種や保管ができる点も扱いやすいポイントです。

 

リゾケアXL

リゾケアXLは、あらかじめ薬剤処理と被覆加工が済んだ種子を使用するため、コーティング作業が不要です。

 

土中播種が可能で、さまざまな播種スタイルに活用できます。

 

カルパーコーティング

カルパーコーティングは、過酸化カルシウムを利用して種子を覆う方法で、土の中で酸素を発生させることで発芽を助けます

 

保管期間は低温保存でおよそ1週間と短めなので、播種スケジュールをしっかり立てておくことが大切です。

 

土中播種に適しており、倒れにくい点がメリットです。

 

無コーティング

無コーティングは、種子をそのまま使用する方法です。代かきと同時に根を出した籾、または催芽処理した籾を浅い土中にまきます。

 

資材費を抑えられ、作業工程もシンプルになるため、コストや時間の削減につながります

 

まとめ

ドローン直播は、播種作業の省力化と作業精度の向上を同時に目指せる手法として、さまざまな現場で活用が進んでいます。

 

中でも湛水直播は、鳥害の軽減や生育初期の安定、除草管理のしやすさといった点からドローン直播と相性のよい栽培方法です。

 

一方で、鉄コーティング・べんがらモリブデンコーティング・リゾケアXL・カルパーコーティング・無コーティングなど、方式ごとに必要な資材や管理ポイントが異なります。

 

圃場条件や作業体制に合った方式を選ぶことが、ドローン直播を安定して行うための重要なポイントです。

 

ドローン直播や湛水直播の導入を検討する際は、播種方法だけでなく、水管理や防除作業まで含めた運用全体を考えることが欠かせません。

 

スカイテクノワークスでは、ドローンを活用した農薬散布サービスや、農業用ドローンのスクールを用意しています。

 

自らドローンを操縦して作業を行いたい方や直播について相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。

 

お問い合わせは、こちら

 

コラム監修者

福永久博
福永久博専務取締役
測量士として25年以上の実務経験を持ち、数多くの公共・民間測量プロジェクトに携わる。
現場で培った確かな測量技術に加え、ドローンを活用した最新の写真測量・3D解析技術にも精通。
1級土木施工管理技士としての知見を生かし、土木現場におけるICTにも積極的に取り組む。

また、UAV写真測量 初級編 POWERED BY KOMATSU SMART CONSTRUCTION インストラクター、P4RTK写真測量インストラクター、JUIDA認定インストラクター、DJI CAMPインストラクターとして、育成にも力を入れている。

そのほか、産業用マルチロータオペレーター技能認定、農薬指導士、米・食味鑑定士、2級陸上特殊無線技士、3級アマチュア無線技士、ICTアドバイザー(九州地方整備局認定)など多数の関連資格を保有。現場経験と教育実績を併せ持つ。