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ドローン測量で使われる機体の種類は?それぞれの特徴を徹底解説

ドローン測量で使われる機体の種類は?それぞれの特徴を徹底解説

ドローンは、空撮だけでなく測量やインフラ点検、農業など幅広い分野で活用が進んでいます。

 

特にドローン測量は、搭載されるカメラやセンサー、機体の性能によって取得できるデータの精度が大きく異なるのが特徴です。

 

この記事では、ドローンの基本的な種類や測量で使われる代表的な機体、搭載センサーの特徴をわかりやすく解説します。

 

ドローン導入を検討している方は、機体選びの参考にしてみてください。

 

ドローンの種類

ドローン機体

ドローンは、用途や飛行方式によって複数のタイプに分けられます。測量や点検、空撮などの目的に応じて最適な機体を選ぶことで、作業の効率やデータの精度を大きく向上させることが可能です。

 

代表的なドローンのタイプには、「固定翼型」「マルチローター型」「VTOL型」の3種類があります。

 

ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。

固定翼型ドローン

固定翼型ドローンは、飛行機のように翼を持ち、前進することで揚力を得て飛行するタイプです。


長距離の飛行に向いており、広範囲のデータを一度に取得できる点が特徴です。測量や地形調査など、広いエリアを効率的にカバーしたい場合に適しています。

 

また、バッテリーの消費効率が良く、比較的長時間の飛行を維持できることも利点です。

 

一方で、垂直離着陸ができないため、離陸や着陸には十分なスペースが必要です。狭い場所や障害物が多い環境では、操作しにくい場合があります。

 

マルチローター型ドローン

マルチローター型ドローンは、複数のプロペラを独立して制御し、安定したホバリングを行うタイプです。

 

垂直離着陸が可能で、構造物の周辺や狭い場所でも柔軟に対応できます。操作が比較的簡単なので、初心者でも扱いやすいドローンです。

 

ただし、バッテリーの持続時間が短く、飛行可能な距離は固定翼型に比べて制限されます。

 

そのため、短時間で精密な撮影を行う場合や、狭い範囲の測量・点検を行う場合に向いています。また、風の影響を受けやすいので、天候条件にも注意が必要です。

 

VTOL型ドローン

VTOL(Vertical Take-Off and Landing)型ドローンは、固定翼型とマルチローター型の特長を兼ね備えたハイブリッドタイプです。


離着陸時はマルチローター型のように垂直に上昇・下降し、巡航時には固定翼型のように効率的な前進飛行を行います。

 

狭いスペースからの発進が可能でありながら、広いエリアを長距離飛行できる点が大きな魅力です。

 

一方で、構造が複雑なため機体価格が高く、メンテナンスや操作には専門的な知識が求められます。

 

また、サイズが大きくなりやすく、携帯性や保管性の面で工夫が必要です。

 

ドローンの機体の種類

ドローン機体

ドローン測量に使用される機体には、性能や用途に応じてさまざまな種類があります。搭載されているカメラやセンサーの性能・飛行時間・安定性などによって、適した現場や撮影範囲が変わります。

 

どの機体を選ぶかによって、作業の効率や測量データの品質に大きな差が生まれるため、特徴を理解しておくことが大切です。

 

ここでは、代表的な測量用ドローンの機体を紹介し、それぞれの特徴や活用シーンをわかりやすく説明します。

 

Phantom 4 RTK

Phantom 4 RTKは、測量・マッピング用途に特化したRTK(リアルタイムキネマティクス)モジュールを内蔵しています。

 

水平位置精度で「1 cm+1 ppm」、垂直位置で「1.5 cm+1 ppm」を実現しており、高精度なデータ取得が可能です。

 

また、カメラは1インチ20メガピクセルを搭載しており、ローリングシャッターによる画像の歪みを最小限に抑えられます。

 

さらに、地形認識モードも備えているため、平地だけでなく高低差のある地形でも正確に測量できます。

 

Matrice 300 RTK

Matrice 300 RTKは、高度なインテリジェント機能と6方向測位システムを備えた高性能ドローンです。

 

最大55分の長時間飛行が可能で、バッテリーはホットスワップに対応しているため、作業を中断せずに交換できます。

 

動作温度の範囲も広く、風速12mの環境や海抜7000mの高地でも安定した飛行を維持できます。長時間・広範囲の測量を効率的に行いたい現場に最適な機体です。

 

Mavic3 Enterprise

Mavic 3 Enterpriseは、コンパクトな設計で持ち運びがしやすいドローンです。

 

ラインナップは2種類あり、広角・望遠カメラを備えた「Mavic 3E」と、さらにサーマルカメラを搭載した「Mavic 3T」があります。

 

どちらも全方向障害物検知機能を搭載しているため、建物が密集したエリアや複雑な地形でも安全に測量を行えます

 

最大45分の飛行が可能で、広い範囲を効率的にカバーできるのが特徴です。

 

Inspire 1

Inspire 1は、4K映像の撮影とHD映像のリアルタイム伝送をワンパッケージで実現したモデルです。

 

上下に可動するランディングギアにより、カメラの周囲を360度見渡せる映像を撮影できます。カメラは高精度ジンバルに搭載され、安定性とバランスの取れた設計が特徴です。

 

また、GPS信号が途切れても「ビジョンポジショニング技術」により安定したホバリングを維持できます。

 

Inspire 2

Inspire 1の性能をさらに進化させた上位モデルです。最大6Kの動画撮影に対応し、わずか5秒で時速80kmまで加速できる高い機動力を備えています。

 

最大飛行速度は時速94kmで、最大飛行時間は27分です。自己発熱システムを搭載しているため低温環境でも安定して飛行でき、改良されたFlightAutonomyによって前後2方向の障害物回避も行えます。

 

ドローンに搭載されるセンサーの種類と特徴

ドローン測量を行ううえで、どのようなセンサーを搭載するかはとても重要です。センサーの種類によって取得できるデータや精度が大きく変わるため、目的や現場の環境に合わせて最適なものを選ぶ必要があります。

 

ここでは、3つのセンサーの特徴に加え、どのような現場で効果を発揮するのかを紹介します。

 

RGBカメラ(写真測量用カメラ)

RGBカメラは、可視光で撮影を行い、オルソ画像や3Dモデルの作成に利用できる高解像度カメラです。

 

20メガピクセル以上や1インチセンサーを搭載しているモデルが多く、細部まで鮮明な画像を取得できます。主に、道路や建築物の外観調査・土量計算・農地や集落の空撮解析などに使用されます。

 

LiDARセンサー(レーザー測深装置)

LiDARセンサーは、レーザー光を地表や対象物に照射し、反射までの時間から距離を算出して地形データを高密度に取得する技術です。

 

樹木の枝葉を透過し、植生の下にある地面の形状を把握できる点が大きな特徴です。そのため、森林地帯や茂みの多い地域の地形調査に適しています。

 

マルチスペクトルカメラ

マルチスペクトルカメラは、可視光に加えて近赤外線や赤色帯など、複数の波長を同時に捉えられるカメラです。

 

これにより、植生の活性度・作物の生育状況・地表面の変化など、肉眼では確認しにくい情報を取得できます。農業分野や環境モニタリングなど、地表の状態を詳しく分析したい場面で活用されています。

 

まとめ

ドローン測量をうまく活用するためには、現場の環境や目的に合わせて最適な機体とセンサーを選ぶことが重要です。

 

固定翼型やマルチローター型などの構造的な違いに加え、LiDARやRGBカメラなどのセンサー性能によっても、取得できるデータの精度が変わります。

 

それぞれの特徴を理解し、用途に合わせて最適なドローンを選定することで、作業の精度と生産性を高められます。

 

ドローン測量を導入する際は、信頼できるパートナーを選ぶことも大切です。熊本県を拠点とするスカイテクノワークスは、ドローンを活用した測量・点検・空撮のプロフェッショナルとして、高精度かつ効率的な業務支援を行っています。

 

また、JUIDA認定コースやUAV写真測量初級コースなど、目的に合わせたさまざまなスクールも用意しています。

 

「ドローン測量を依頼したい」「資格を取得して業務に活かしたい」という方は、ぜひスカイテクノワークスへご相談ください。

 

専門スタッフが、目的に合わせた最適なプランを提案し、資格を取得するまでしっかりサポートします。

 

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コラム監修者

福永久博
福永久博専務取締役
測量士として25年以上の実務経験を持ち、数多くの公共・民間測量プロジェクトに携わる。
現場で培った確かな測量技術に加え、ドローンを活用した最新の写真測量・3D解析技術にも精通。
1級土木施工管理技士としての知見を生かし、土木現場におけるICTにも積極的に取り組む。

また、UAV写真測量 初級編 POWERED BY KOMATSU SMART CONSTRUCTION インストラクター、P4RTK写真測量インストラクター、JUIDA認定インストラクター、DJI CAMPインストラクターとして、育成にも力を入れている。

そのほか、産業用マルチロータオペレーター技能認定、農薬指導士、米・食味鑑定士、2級陸上特殊無線技士、3級アマチュア無線技士、ICTアドバイザー(九州地方整備局認定)など多数の関連資格を保有。現場経験と教育実績を併せ持つ。