ドローン測量の標定点とは?役割や設置する際のポイントを詳しく解説
ドローン測量は、現場の効率化と精度向上を両立できる手法として、建設・土木分野を中心に需要が高まっています。
その中でも、測量データの正確さを左右する重要な要素が「標定点」です。標定点は単なる目印ではなく、最終的な3次元データの精度や信頼性に大きく関わる重要な基準点です。
しかし、正しい設置方法や必要数、精度確保のポイントなど現場で迷いやすい点も多くあります。
この記事では、標定点の役割・設置方法・作業時の注意点・課題の解消方法をわかりやすく解説します。
ドローン測量を検討している方や標定点の役割を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
標定点とは

標定点とは、正確な位置情報がわかっている地上の基準点のことです。ドローン測量では、この基準点を写真の中に映り込ませて、データ解析の際に位置を合わせるための指標として活用します。
通常の測量はGNSSの位置情報を使って行われますが、GNSSだけでは数メートルほどのズレが出ることがあり、そのままでは公共測量が求める「最大誤差5cm以下」の精度を満たせません。
そこで、GNSSのズレを小さくするために標定点を設置する必要があります。
標定点によって精度が高まる理由
標定点に設定する座標は、GNSSローバーといった測位機器によって正確な値を取得できます。
GNSSの情報は、地上から100km以上離れた衛星から送られるため、大気の状態や衛星軌道の微妙なズレによって誤差が生じることがあります。
GNSSローバーは地上で使用する機器のため外的影響を受けにくく、ロシアや欧州の衛星も含め複数の測位システムから信号を受信できるため、より安定した位置情報の取得が可能です。
また、ドローン測量では標定点とあわせて検証点も配置します。検証点は、作成した3次元データの座標が正しいかどうかを確認するためのポイントで、誤差を評価する重要な役割を持っています。
標定点の設置方法
ドローン測量で高精度の3次元データを作成するには、標定点の正しい設置が欠かせません。
どれだけ高性能な機材を使っても、標定点の配置や測定方法が適切でなければ、誤差のないデータは得られません。
ここでは、現場で迷わず作業できるように、標定点の基本的な設置手順をわかりやすく説明します。
1.設置場所を決める
はじめに、「UAVを用いた公共測量マニュアル(概要版)」を参考に、測量エリア内で標定点と検証点をどこに置くかを決定します。
2.対空標識(目印)を置く
場所が決まったら、標定点や検証点を示すための対空標識を配置します。これは、空撮した画像上で位置を判断しやすくするための目印です。
風や車の通行によってズレないよう、杭などを使ってしっかり固定しておく必要があります。
3.標定点と検証点の座標を測定する
対空標識を設置したら、次にトータルステーションやGNSS測量機器を使って、標定点や検証点の座標を正確に計測します。
GNSS測量機器の操作自体はシンプルです。アンテナの電源を入れ、プロジェクトを作成し、測量を開始すれば計測が進みます。操作工程が少ないため、現場でも扱いやすい点が特徴です。
標定点を設置する際のポイント

標定点は、ただ置けばよいわけではありません。設置場所や配置のバランスによって、最終的なデータ精度が大きく変わります。
特にドローン測量では、標定点が正しく写り込むかどうか、標高差を適切にカバーできているかといった要素が重要です。
ここでは、精度の高い測量結果を得るために押さえておきたい標定点の設置のポイントをわかりやすく解説します。
測量範囲にバランスよく配置する
標定点は、測量エリア全体に均等に配置すると精度が安定します。
また、TS測量の最大視準距離(100m)を超えない範囲、30〜80m程度の間隔で設置するのが理想的です。
高低差がある場所にも設置する
起伏が大きい現場では、標定点を高い位置と低い位置の両方に設定することで、より正確な3次元データを作成できます。
障害物で隠れない場所を選ぶ
木や建物の陰になる場所は避けましょう。対空標識が写らないと解析に影響が出るため、できるだけ見通しのよい場所を選ぶことが重要です。
また、真上からだけでなく、斜め方向から見たときに障害物で隠れていないかも必ず確認しておきましょう。
レーザー測量は浮かせて設置する
レーザー測量は写真と違い、色の情報を持たず、高さの差だけで判断します。
そのまま地面に置くと標識が認識されにくくなるため、上空から確実に判別できるよう、対空標識は少し浮かせて設置しましょう。
標定点の課題
標定点はドローン測量の精度を支える重要な要素ですが、現場では設置や回収に手間がかかり、負担が大きくなる場面も少なくありません。
さらに、現場条件によって設置が難しい場合があったり、案件ごとに毎回作業コストが発生したりと実務ではさまざまな課題があります。
ここでは、標定点を使用する際に直面しやすい問題点を解説します。
設置から回収までに時間がかかる
標定点の運用には座標の計測、対空標識の設置、作業後の回収といった工程が必要です。
これらの作業だけで、全体の3〜4割を占めることもあります。現場が広いほど標定点の数が増え、高低差のある地形ではさらに設置ポイントが増えるため、準備から後処理までの時間が長くなりやすい点が課題です。
標定点が設置しづらい場所がある
立ち入りが制限されているエリアや、足場が悪く安全に作業できない場所では、標定点を設置するのが非常に困難です。
このような環境では、設置までに余計な時間がかかり、作業効率が大きく低下してしまいます。
案件ごとに作業コストがかかる
現場が変わるたびに、座標計測から設置、回収までの工程を再度行う必要があります。その都度、人件費や作業時間が発生するため、案件ごとのコストがかさむ点も避けられない問題です。
標定点の課題を解決するためには

標定点の課題を解消するためには、ドローン本体に備わっているRTK機能と、データ処理時に位置情報を補正するPPKを活用する方法があります。
RTKは衛星からの信号に加え、地上の基準局からの電波も同時に受信できるため、リアルタイムで高精度な位置情報を取得できます。
この機能を搭載したドローンを使えば、設置する標定点の数を大幅に減らすことも可能です。
一方、PPKを使う場合は、専用の受信機をドローンに取り付けて運用します。飛行後のデータ処理で位置情報を補正できるため、高精度の測位が実現し、現場によっては標定点が不要になるケースもあります。
ただし、PPKに対応している機体やカメラには制限があるため、導入前に対応製品を必ず確認しておくことが重要です。
まとめ
標定点はドローン測量の精度を左右する重要な要素ですが、設置作業の負担や現場条件による制約など、運用面での課題も少なくありません。
RTK・PPKといった高精度測位技術を活用すれば、標定点の数を減らしたり、作業を効率化したりすることも可能です。
スカイテクノワークスでは写真測量とレーザー測量の両方に対応し、測量士・写真測量講師・JUIDA認定者など有資格者が在籍しているため、初めての方でも安心してご依頼いただけます。
さらに、UAV写真測量初級コースなど、操縦技術を学べるスクールも充実しています。
ドローン測量の依頼や技術習得を検討している方は、ぜひ一度スカイテクノワークスへお問い合わせください。
お問い合わせは、こちら
コラム監修者

- 専務取締役
-
測量士として25年以上の実務経験を持ち、数多くの公共・民間測量プロジェクトに携わる。
現場で培った確かな測量技術に加え、ドローンを活用した最新の写真測量・3D解析技術にも精通。
1級土木施工管理技士としての知見を生かし、土木現場におけるICTにも積極的に取り組む。
また、UAV写真測量 初級編 POWERED BY KOMATSU SMART CONSTRUCTION インストラクター、P4RTK写真測量インストラクター、JUIDA認定インストラクター、DJI CAMPインストラクターとして、育成にも力を入れている。
そのほか、産業用マルチロータオペレーター技能認定、農薬指導士、米・食味鑑定士、2級陸上特殊無線技士、3級アマチュア無線技士、ICTアドバイザー(九州地方整備局認定)など多数の関連資格を保有。現場経験と教育実績を併せ持つ。
最新の投稿
ドローン測量1月 23, 2026ドローン測量の標定点とは?役割や設置する際のポイントを詳しく解説
ドローン測量1月 16, 2026ドローン測量で求められる精度とは|基準と精度向上のポイント
ドローン測量12月 12, 2025ドローン測量の費用はいくら?相場とコストを抑えるポイントを紹介
ドローン測量12月 5, 2025ドローン測量を会社に依頼するメリットと納品までの流れを詳しく解説